UFC殿堂入りファイターのBJ・ペン(ジェイ・ディー・ペン)が、2025年に母親ロレーン・シンへの接近禁止命令違反などで今年5度目の逮捕――長年MMA界をリードした伝説の男に、家庭トラブルと精神的苦悩という深刻な現実が襲いかかっている。ハワイ警察によると、彼は裁判所の了承を得ず母親宅敷地に侵入し、その場で逮捕。2,000ドルの保釈金を払い即日釈放されたが、保護命令(本人は被告)による自宅から100ヤード以上離れて生活する義務を何度も破ってきた。
そもそもの発端は今年初めの家族内トラブル。シン氏は「極度の心理的虐待」「妄想(カプグラス症候群)が酷い」と現地警察に相談。財産や郵便物の紛失、部屋への不審介入、防犯カメラへの妨害、さらには車を巡る暴力騒動までエスカレート。兄弟にも助けを求めた末に、逮捕と保護命令取得に踏み切った。裁判所は母親の安全を重視し「一年間の接近禁止」を正式に発令――しかしBJ・ペンは度重なる違反行為と逮捕の繰り返しとなってしまった。
近年のトラブルは残念だが、BJ・ペンはMMA史に燦然(さんぜん)と輝く戦績と功績を誇る。元UFCライト級王者&ウェルター級王者、世界初の“二階級制覇”を達成したレジェンド。あのマット・ヒューズを極めたUFC46のRNC勝利、ジョー・スティーブンソン戦での豪快なフィニッシュ、その後も対戦相手としてゲンティン・エドガーやジョルジュ・サンピエールらトップを相手に死闘を繰り広げた。UFC殿堂入りは2015年に果たし、現代UFCの軽量級プロモートにも大きな役割を果たした。
名誉と苦悩――BJ・ペンの物語は、栄光も闇もリアルな“人間ドラマ”そのものだ。晩年の苦境を乗り越え、治療と家族の和解で新たな一歩を踏み出してほしい。今もファン、そして総合格闘技界の心に「伝説の魂」が生きている。彼が再び“本当のプロディジー”として、自らの人生にもタイトルを掴む日を期待し続けたい!